製造業の本社オフィスビルにおける、中央監視装置(BAS)の全面リプレース事例です。既存のフィールドネットワーク(CC-Link)と現場側のIO機器を活かしながら、上位の中央監視サーバーとゲートウェイを刷新することで、投資効率と将来拡張性を両立しました。

ご相談内容

ご相談時の課題は以下のとおりでした。

  • 既存の中央監視装置とメーカー独自仕様のゲートウェイ構成が 長年の運用で老朽化、メーカーサポートにも不安があった
  • フィールド側のCC-Link IO(32点デジタル入力、16点デジタル出力、アナログ入力、測温抵抗体など)は 比較的新しく、まだ十分に活用可能
  • 上位のシステムを全面更新したいが、フィールド側まで一気に更新すると投資負担が大きい
  • 将来の拡張・他システム連携を見据えた オープン性 が欲しい
  • 本社オフィスとしての運用を 止めずに移行 したい

ご提案・施工内容

システム構成の方針

「既存のCC-Link資産を活かしたまま、上位だけを更新する」方針で、以下の構成変更を提案・施工しました。

階層更新前更新後
中央監視サーバー専用中央監視装置(老朽化)doGATE(福岡県IoT認定の主力ソリューション)
ゲートウェイメーカー独自仕様のゲートウェイMELSEC Q シリーズ PLC(CPU: Q03UDVCPU / CC-Link: QJ61BT11N)
上位通信メーカー独自プロトコルMELSEC 3E(UDP/IP) ─ オープン仕様
フィールドCC-Link 156kbps Ver1.10同一(既存資産を継続利用)
CC-Link IO既設機器既設機器を継続利用

統合した監視・制御機能

doGATE 側で実装したBAS機能は以下のとおりです。

ポイント種別

  • 発停/状態/反指令・状態不一致監視
  • 運転回数積算/運転時間積算
  • 警報/計測(4〜20mA → 0〜4000 スケーリング)/積算
  • 設定値(しきい値・スケジュール)

制御・運用機能

  • 火災連動制御(非常時の機器自動停止)
  • 停復電制御(復電時の自動立上げ手順)
  • ヘルスチェック(PLC・IOの生存監視)
  • 電力デマンド監視
  • 移報(他システムへの通知)
  • 力率改善制御
  • 帳票出力

既存IOを活かしたまま、不足機能を補強

CC-Link 上の既存IO構成(32点BI/16点BO/積算用FX PLC/4点アナログ入力/4点測温抵抗体ユニット)は 更新後もそのまま継続利用。MELSEC Q から CC-Link マスタとして既設IOを取り込み、doGATE へ MELSEC 3E プロトコルで集約することで、フィールド工事を最小限に抑えました。

運用継続を最優先した段階移行

本社オフィスとしての日常運用を止めないため、以下のステップで段階移行を行いました。

  1. 既存システムの設定・運用ノウハウの吸い出し:制御ロジック・アラーム設定・スケジュール運転をドキュメント化
  2. 新システムの事前ジェネレーション:doGATE 側のシステム定義・画面作成をオフィスで事前完了
  3. 休日夜間の切替工程:CC-Link 接続点を旧ゲートウェイから新MELSECへ計画的に切替
  4. 並走運転期間:切替直後は監視値の比較計測を行い、設定値のチューニング
  5. 運用引渡し:施設担当者向けの操作研修、月次レポート設計の引継ぎ

結果

  • 既存CC-Link IO資産をフル活用 し、フィールド側の追加工事を最小化
  • 上位を MELSEC 3E(オープン仕様)に切り替えたことで、将来の中央監視リプレース時にメーカーロックインを回避
  • 火災連動・停復電・電力デマンド監視・力率改善まで含む 包括的なBAS機能 を doGATE 上に統合
  • 本社オフィス運用への影響を抑えた 段階移行 で完工
  • 引渡し後も 保守相談・運用支援 に対応中

このプロジェクトのポイント

  • 「全部新しく」ではなく「効くところだけ刷新」 の費用対効果
  • オープンプロトコル(CC-Link+MELSEC 3E) で将来資産化
  • doGATE による メーカー混在環境の統合監視
  • 電気工事と計装工事の両方を社内対応できる体制で、配線工事〜PLCプログラム〜上位システムまで一気通貫

中央監視装置の更新時期に差し掛かっているビルや、既存のフィールド設備をできるだけ活かしたい施設では、同様のアプローチが有効です。

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